近年、専門学校や大学以外の進路として、「専門職大学」に注目が集まっています。
専門学校と大学を融合した専門職大学は、今後も多くの有能な人材を社会に送り出していくでしょう。
こちらでは、話題の専門職大学の特徴と、従来の専門学校との違いについて解説します。
同時に「大学併修」という学習方法についても紹介するので、この機会に本格的に今後の進路を検討してみてください。
専門職大学とは、専門学校と大学の良い部分を取り入れた特殊な学校のことを指します。
専門学校ならではの専門分野に特化した授業や、大学特有の幅広い(学問)分野を学べる環境などを整備した、ハイブリッドな学校として注目されています。
専門職大学では業界に紐づいている授業が展開されるため、専門学校のように特定の分野を深くまで学びつつスキルを習得できます。
その一方で、大学のように広い教養を得られる機会が設けられていることから、興味のある分野にどんどんチャレンジしていけます。
専門職大学では将来的にその業界の発展を促せる人材の育成を目標としているため、専門的かつ実践的な能力を育めるカリキュラムが設定されています。
そのほか、専門職大学は生徒個人のマネジメント能力を育てて、新規事業やサービスを生み出せる人材の輩出を目指すのも特徴です。このような方針に基づいた教育を受けることにより、
ただ業界のなかで与えられた仕事をこなすだけでなく、積極的に自分らしい働き方を実践していけるスキルを習得できます。
このように専門職大学は、従来の専門学校や大学にはない制度や目標のもとで人材を育成する学校となっています。
専門職大学は専門学校に類似していると誤解されがちですが、その特徴や方向性には多くの違いがあります。
以下からは、専門職大学と専門学校の違いについて解説します。
専門職大学では、在学中から自分の興味のある業界について深く学べるのが特徴です。
産業界と連携した授業が行われるため、その業界の最新情報を取得できます。
どのような人材が求められているのか、どんなスキルを身につけるべきなのかといったことを、就職活動前に把握できるでしょう。
専門職大学では長期にわたる企業内実習も行われるため、実際の労働環境や働き方を自分の肌で学べます。
通算で600時間(2年制は300時間)にもなる学外実習を経験できるので、専門学校では学びきれない多くの実践的なスキルが習得可能です。
専門職大学は、新規事業や新しいサービスを生み出す人材を育成するという目標を持っています。
社会の変化や技術の発展に臨機応変に対応できる創造力と、実際に行動に移せる実践力を身につけられます。
専門学校のように特化した学習を進めるだけでなく、そこから自分だけのアイデアを形にする能力を得られるのが専門職大学の特徴です。
現在の業界に足りない要素や伸ばしていくべきポイントを理解することにもつながるため、専門職大学での学習経験がその業界の発展に貢献することが期待できるでしょう。
専門職大学で所定の単位を獲得して卒業すれば、学士(専門職)の資格が得られます。
大学卒業と同等の資格を有することができるため、将来の就職活動の幅を広げられるでしょう。
専門学校のように特化した授業で勉強をしつつ、大卒の資格が取得できることから、非常に効率的な学習環境だと言えます。
専門職大学は、大学のようにさまざまな分野を幅広く学べるのも特徴です。
特定の分野に学習範囲を限定せずに、自分の知りたいことを好きなように学べるため、モチベーションを高く維持できます。
専門職大学では教員だけでなく、研究者から専門科目を学ぶことも可能です。
普段から専門的な研究を仕事にしている人たちからも学べる点は、専門職大学に通う大きなメリットになるでしょう。
専門職大学は上記のように多くの特徴・メリットを持ちますが、一方で解決すべき課題も抱えています。
特に問題とされているのが、専門職大学の制度を設置している学校の少なさです。
専門職大学は2019年4月からはじまった新しい制度であるため、まだ学校側の体制作りが間に合っていないケースがあります。
そのため、専門職大学に興味があっても、近くに入学できる学校がないという生徒も多いのです。
専門職大学の制度を導入する準備を進めている専門学校は増えているため、今後全国各地で学校数は増加すると予想されます。
しかし、実際に学校が増えるまで入学が難しい点は、これからも専門職大学の課題となるでしょう。
学校数の少ない専門職大学に代わっておすすめされるのが、「大学併修」制度を持つ専門学校です。
大学併修とは、専門学校に通いながら提携している大学の授業を学べる制度です。
大学併修を活用することで、卒業に合わせて大卒の証明である学士の資格を取得できます。
専門学校の授業制度を活用しつつ、大卒の資格を得られる点は、専門職大学に近いメリットだと言えるでしょう。
例えば「尚学院公務員法律大学校」は、中央大学と提携して大学併修制度を実践しています。
ダブルスクールの形で学びつつ、中央大学の学士と高度専門士の資格を取得することが可能です。
専門学校でありながら大卒の資格を取得できることから、将来の就職活動や出世においてメリットを得られることが期待できるでしょう。
大学併修は専門職大学のように業界に紐づいているのではなく、「職業」に紐づいているのが特徴です。
なりたい職業に関するスキルを集中的に学べるため、無駄なく効率的に必要な能力を習得していけるでしょう。
また、大学併修は専門職大学と違ってマネジメントの概念はなく、あくまでスキルの育成に特化しています。
その分、地域社会と深く根付いた学習を行ったり、実践的なスキルを得るためのマインドを育てたりといった点に力を入れているのが特徴です。
専門職大学とは違った特徴・メリットがあるため、大学併修を活用して学習を進めるのもおすすめです。
専門職大学は、今後専門学校や大学のように、高校卒業後の進路のひとつになると期待されています。
この機会に専門職大学ならではの特徴を確認して、従来の専門学校や大学にはない魅力を把握してみてはいかがでしょうか。
専門職大学と同様に、多くのメリットを持つのが大学併修による学習です。
大学併修制度を備えている専門学校も、この機会にぜひチェックしてみてください。